
女装して外へ出ようとすると、気になるところがいくらでも出てくる。
ヒゲが少し残っている。
眉の左右が揃っていない。
肩が広い。
ウィッグがきれいに決まらない。
それを全部上手くできてから外へ出ようとすると、いつまでたっても外に出れない。
この「いつまでも」は、その日の支度が終わらないという意味でもあるし、「もっと上手くなってから」と考えて、何年も家の中だけで女装を続けるという意味でもある。
僕は、女装は50点くらいでも外へ出られると思っている。
僕自身、20年以上前は今よりパス度が高くなかった。
当時でいう「ザ・オカマ」みたいな派手な格好もしていた。
それでも外には出ていたし、そこから一人で街を歩くようになって、服も髪も少しずつ変わっていった。
50点は、全部を半分で済ませるという意味ではない
50点でいいと言っても、適当でいいわけではない。
外へ出る前に直しておきたいところと、そこまでこだわらなくてもいいところがある。
男だと気づかれやすいところは直しておく
ヒゲが青く残っている。
ウィッグの横からもみあげが出ている。
襟元から男物の肌着が見えている。
こういうところは、外へ出る前に直す必要がある。
ウィッグが少し乱れていることと、横から男の髪が出ていることでは違うし、ファンデが完璧ではないことと、青ヒゲが見えていることも違う。
「ここで一発で男だとバレる」と感じるところは、直しておくことは必須だ。
細かいところまで全部直そうとしない
眉の高さが少し違ったり、アイラインの長さが左右で微妙に違ったり、ファンデを近くで見ると毛穴があったり。
そういうのを、イチイチ気にしていると外に出られない。
街ですれ違う人は、顔を数センチの距離で確認してこない。
外へ出る前に毎回100点を作ろうとすると、女装するたびに疲れてしまう。
ちなみに僕は、いまだに眉やアイラインが納得できる出来になることは稀だ。
それでも、外に出ることができる。
パスできるかと、綺麗かどうかは別の話
外へ出る前は、「もっと綺麗にならないと」と考えてしまうかもしれない。
たしかに、せっかく外に出るなら、綺麗な姿を人に見せたい。
でも、街を歩いている女子が全員美人なわけではない。
メイクが上手い人もいれば、ほとんどしていない人もいる。
服に時間をかけている人もいれば、近所へ出るような服で歩いている人もいる。
女装も同じだ。
第一印象で女子に見えたら、女子だ。
イチイチ疑われない。
20年前の僕は、パス度が低かった
僕が女装を始めた頃は、今よりパス度が低かった。
服も今みたいに街へ溶け込むものばかりではなく、当時でいう「ザ・オカマ」みたいな格好をしていた。
最初の外出は夜の仕事をしていた頃だった。
周りにも女装している人がいたので、精神的に無敵状態で外出できていた。
その環境なら、派手な服でも外へ出やすかったが、一人で街を歩くようになると話が変わる。
人とすれ違ったり電車に乗ったり店へ入ると、女装していることが一目で分かる派手な服より、街にいる女子の中へ混ざれる服の方が気楽だ。
なので、僕は少しずつ、服もウィッグも街で浮かないものへ変わっていった。
メイクが上手くなったら外へ出られるわけではない。
実際に街を歩いたから、「ここは変えたい」「これは気にしなくてよかった」って分かってくる部分も多い。
家では分からなかった風や靴、メイク崩れがどういう風に起こるか、外へ出て分かる。
何年も100点を待つのはもったいない
女装歴が10年近いのに、半年前までずっと家だけだった人が、初めて外へ出て「こんなに楽しいならもっと早く出ればよかった」となることがある。
女子の10年が大きいように、僕らの10年も大きい。
10年前なら、その時の顔、その時の体、その時に着られた服がある。
もちろん女装した初日に外へ出る必要はない。
何回かメイクして服を着て、「これなら外へ出られそう」と思えたら、自販機やコンビニまででもいいから一度出てみたい。
👉 女装で初めて外に出る|自販機・コンビニから始める短い外出
100点を待っている間にも時間は過ぎていく。
50点でも外へ出てみると、家の中だけでは知らなかった女装の楽しさが増えることもある。

